一次創作のこと色々
明日は家のガスの法定点検に立ち会うため休業ということで、時間もあるし、連休中に載せた作品のことなど書こうかなと。
今回投稿した一次創作品「一葉の灯」。もののけ二次創作を求めてここに来て下さる方々に読んで下さった方がいるのかどうか分かりませんが、一応読んで下さった前提で書いてみます。
今作のテーマは「言葉」!
読んだ方がいらしたら分かると思いますが、誰がどう見ても「言葉」が主題となっています。
そもそも、約一年前にこの作品の構想が浮かんだ理由というのは、コロナ禍で報じられたとある一つの小さなニュースにあります。
その報道というのは、コロナウイルスにより人工呼吸器をつけて入院していた方が、本当に死の直前に、それまで看護してくれた看護師の人に、「ありがとう」と言って世を去ったというものです。
去年だか一昨年だったか今や記憶があいまいですが、当時、入院室の監視カメラのようなものの映像付きで、ほんの僅かな時間でしたが報道されていた記憶があります。
その報道を観てその人のことが頭から離れなくて、肺炎で本当に苦しい今際に、最後の最後に、人工呼吸器をしながら(外した?)も看護師の方に感謝を伝えたという事実に、感動だけではなく、色々なことを考えさせられました。
今の世の中、ネット、リアルとを問わず、誹謗中傷や問題発言による炎上など「言葉」の問題が本当に多くなっていますよね…。
たぶん、様々な媒体を通じてこれだけたくさんの映像や文章が溢れる社会だからこそ、文字や言葉などの「言」が問題となる場面が増え、悪い面が目立ってしまっているんでしょうね…。
そういう今の状況を顧みて上記のニュースを見た時、感動だけではなく、何かもっと別の大事なことも、その亡くなられた方に気づかせてもらったような気がしています。
あの亡くなられた方のことは何も知りません。氏名も歳も、普段の性格や生前どのような人生を歩んできたのかも知りません。何一つ、あの方のことは知らないんです。でもきっと、この報道のことは今後一生忘れないだろうし、その人のこともまた、忘れられないだろうなと思います。
そしてもう一つ、上記の報道を知った後に出会ったある音楽も、今回の作品を書く上で大きなモチベーションとなりました。
その曲というのが、Ryu Matsuyamaさんの「Snail」という曲。(Ryu Matsuyama / Snail feat. Daichi Yamamoto【Lyric Video】)
聴く人によって受け取り方も多少異なるのかもしれませんが、こちらも言葉がテーマになっている曲で、この曲と上記の報道が合わさって、今作になったという感じです。
(一方で前作の「継憶の暁」は、コロナ禍での人同士の様々ないざこざに対する悶々とした想いと、新進気鋭のアーティストchilldspotさんの「ネオンを消して」が合わさって出来上がりました。)
ちなみに、今回も古文はあくまでエセ古文だと思ってくださいね。一応毎回調べながら書いていますが、間違っている部分もあるでしょうし。あと、難しい語を使う時も、出来るだけ話の流れや漢字からなんとなく意味の想像がつくようにしているので、古文が苦手な方でもたぶん大丈夫ではないかと。
「一葉の灯」、うまく描きたいことが表現できているかどうか分かりませんが、ご興味ありましたらぜひ一度読んで頂ければと思います。(フリガナ付はこちらのNOVEL DAYSさんにあります。)
それと、前作の「継憶の暁」の方ですが、リアルで身近な人に読んでみてもらったところ、一か所、物語で伝えたいことの根本に関わる部分で誤解が生じている部分がありましたので、ちょっと補足します!(本来、書いた作品について補足するなんてあんまり良いことではないでしょうけど。単純にこちらの表現力不足です…。)
文章の冒頭と最後に、「沈む陽を背に」と、「昇る陽を背に」という表現があるのですが、どうもこの表現が良くなかったようです。
「背に」というのは、こちらの意図としては、例えば「沈む陽」であれば夕陽を背中側にして歩く…つまり、西側から東側に向かって歩いているということを表しています。一方の「昇る陽」を「背に」というのは、朝陽…つまりは東側に背中を向けて西に向けて歩いているということになります。要するに、物語の導入では東に向けて歩いていた主人公が、物語終盤には今度は西に向けて歩いている=来た道を戻っている、ということです。
これがどうも読んでもらった人にうまく伝わっておらず、その人は、「沈む陽」や「昇る陽」を「背に」という表現を、主人公が山の稜線を、「沈む陽」や「昇る陽」を背景にして歩いている(絵にすると、後ろに陽があって、手前の稜線を横方向に主人公が歩いている構図)として受け止めたようで、こちらの意図したイメージが伝わっていなかったということです。
表現って難しいですね。
この点については、物語の根幹(なぜ主人公は来た道を戻っていったのか、その意味)に直接関係する部分であるため、今回補足しました。
意図通りに受け止めて下さった方もいらっしゃると思いますが、やはり一度身近な人に読んでもらって率直な感想を聞くというのは大事だなと、また一つ勉強になった次第です。
タイトルの「継憶」の読み方も確認されましたが、「けいおく」です。造語ですが、漢字で意味は分かっていただけるのではないかと。いつもタイトルは作品が出来上がってから、その本質を表すようなものになるよう心がけて決めているのですが、「継憶の暁」 ではその伝えたい事の本質を表す言葉が見当たらず(語彙がないだけでしょうけど)、悩んだ末に「無いなら作っちゃえ!」ということで造語を入れちゃいました。(「記憶」が個人の体験を心に刻むものなら、他人の体験を見聞きしてそれを引き継ぎ、自らの心に刻むことは何と言うんだろう…ということで、「継ぐ」の「継」を「憶」と合わせ、「継憶」となりました。)
表現だから、人によって受け止め方は異なりますし、自分の意図したことを伝えるのって本当に難しいですね。
いろいろと勉強になっているので、今後、もっと文章力を身につけて自分の脳内にある物語を形にしていけたらなぁと思っています。